代表的な工芸品

卯花墻(うのはながき)

美濃焼の中でも国宝指定された和物陶器は数少ないですが、その中でも特に注目されるのが絵志野茶碗の「卯花墻(うのはながき)」です。この茶碗は白濁半透明の志野釉が厚くかけられ、肌は百草土(卵の殻のような色)を帯びており、口辺や釉薬の薄い箇所には赤みが見られます。

もともとは冬木家という豪商の所有でしたが、1890年に大阪の山田家に移りました。その価値は当時の通貨で1000円(現在の価値に換算するとおよそ2000万円)とされ、書物『大正名器鑑』にもその評価の高さが記されています。

卯花墻は美濃焼の中でも特に優れた作品として評価されており、その美しさと希少性から注目を集めています。国宝指定された茶碗として、その歴史的な価値と美意識の高さが称賛されています。

代表的な人・工房

  • 古田織部:茶道家千利休の弟子であり、美濃焼の「織部」を創らせた人物として知られています。
  • 荒川豊蔵:志野焼と瀬戸黒焼の技術保持者(人間国宝)であり、その優れた技術で名声を得ました。
  • 塚本快示:白磁焼と青磁焼の技術保持者(人間国宝)であり、高い芸術性を持つ作品を創り出しました。
  • 鈴木蔵:志野焼の技術保持者(人間国宝)であり、独自の美しい志野焼の作品を生み出しました。

彼らは美濃焼の歴史や技術の発展に大きな貢献をした陶芸家であり、その作品は美濃焼の伝統と芸術性を体現しています。

数字で見る美濃焼 国内シェアの約5割を占める

美濃焼に関するいくつかの注目すべきポイント

  • 起源:美濃焼の起源は奈良時代の須恵器にまで遡ります。
  • 出荷額:和食器は約145億円、洋食器は約108億円(2018年時点)の出荷額を記録しています。
  • 従事社数:和食器は180軒、洋食器は62軒(2018年時点)の企業が美濃焼の製造に従事しています。
  • シェア率:岐阜県は全国の陶磁器の約5割のシェアを占めています。
  • 伝統的工芸品指定:美濃焼には多くの様式があり、黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部、灰釉、天目、染付、赤絵、青磁、鉄釉、粉引、御深井、飴釉、美濃伊賀、美濃唐津の15種類が伝統的工芸品として指定されています。

これらの要素が美濃焼の魅力や重要性を示しています。伝統と革新を融合させながら、美濃焼は現代においても高い評価と人気を誇っています。